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2017年2月

ふぁるぷだいありぃ その11

                  おことわり

この作品は、セガから発売されているオンラインゲーム。ファンタシースターオンライン2を元に、勝手な解釈と設定を持ち込んで書かれた二次創作物です。

そういったものが苦手という方や、不愉快に思うファンの方もいるかと思います。

まして、作者は素人であり文章もあまり読みやすいものではありません。全ては作者自身の自己満足のために書かれたものですので、本来読むことをお勧めはいたしません。

しかしそれでも、読んでやろうじゃないか!!という方、その後発生する感情を自己責任で処理するという事で、読んでいただくようお願いします。

 

 

 

問6、下線部⑥I'm not the one who did it.を訳しなさい。

えっと、『私はやってない』かな?ノリとしては『俺は無実だ!』と書きたいところだけれどそれだと、I'm innocent. になるからな……。

どうせ答え合わせも新学期が始まってから自分ですることになるのだ。誰も見ることのない問題集でウケを狙っても仕方がない。僕はその問題集の最後の空欄を模範解答で埋めるとそのページをとじた。

「……まぁこんなもんでしょう。後は夏休みを楽しみますかね」

机の脇には今日までに終わらせた課題の問題集が山になっている。その一番うえに今終わらせた英語の課題を積み上げた。

これで夏休みの課題は全て終わりだ。学期末に渡されたかつてない問題集の量を見れば、高等部は中等部よりも確かに課題そのものの量は増えているのだが、日記や植物採集といった日々手間のかかるものは無くなったため、結果的に前より早く終わらせてしまうことができた。

僕は昔から夏休みの宿題を、できるだけ早いうちに終わらせてしまうようにしていた。

それを聞いた友達からは真面目だとか言われるけれど、これには我が家特有の事情がある。それは父親が海外にいて夏休みにそっちに遊びに行くことが多かったためだ。

重くてかさばる宿題の問題集の束を抱えて行くくらいなら持っていきたいものは他に沢山ある。

それに工作や自由研究といったものは帰ってきてから慌ただしく済まさなければならなかったことを思い出せば、問題集のみという高等部の宿題はむしろありがたいくらいだ。

もっともそれも小学生までの話で、アークス学園に進学してからは来たければおいで?という感じになり、僕もこの2年は向こうに行っていない。

そして今年も行くつもりは無かった。夏休みの間にやることがあるからだ。

まずは夏休み明けに始まる学園祭の準備。実行委員になってしまった僕はクラスの出し物だけでなく全体の運営においても役割が与えられている。盆明けからはほぼ毎日学園に行くことになるだろう。

それにもっと大事なこともあるし……。

ふと、時計を見て9時を少し回ったところであることを確認したところで、玄関の重いドアが開く音とそこに付けられたカウベルが鳴り響いた。

やがてとてとてと階段を駆け上がる足音がして、それは部屋の扉の前で止まった。チャイムを鳴らさずにこうして家に入ってくる人間は友人を含めて割と多いが、足音の調子からいってそれが瑠環であることは間違いないだろう。

「お兄ちゃん、起きてる?入ってもいーい?」

思った通り瑠環の声だ。

ほんの数日会わなかっただけだというのに、その声は乾いた砂に水が染み込むように僕の中に入ってきて、たった一声だけだというのに僕の胸が暖かくなった。

「いいよ、おいで」

ドアの向こうから聞こえた声にそう返す。

入ってきた瑠環の顔は前に見たときよりも少し日に焼けていた。

「おかえり、瑠環」

「ただいま、お兄ちゃん!」

何より大事なのは、この夏はこの子といっぱい遊ばないといけないということだった。

 

瑠環の家の改装は来月までかかるらしく、瑠環はまだしばらく家で預かることになっている。

絶対というわけでもないが、学園から近く気心も知れたうちは何かと都合が良いらしい。

夏休みが始まってここ何日かの間は、瑠環は両親と共に祖父母の所に行っていたのだが、瑠環も夏休み中まったく学園に行かなくていいわけではない。

数学とか英語とか、期末テストで芳しくなかった学科の補習が彼女を待っているからだ。

 

「えへへ、、お兄ちゃん久しぶり」

「久しぶり、まあたったの5日なんだけど」

「5日もだよ!お兄ちゃん。ちゃんと朝起きれた?ご飯も食べてた?」

まったく今時母親でも気にしないようなことを聞いてくる。それが恥ずかしくも嬉しかったりするのだが、照れ臭いからそういった感情は表面に出さないようにして、僕は問題ないとだけ答えた。

「お兄ちゃんお勉強してたんだ。やっぱり高等部の宿題って中等部より多いのかな?」

「まあね。でもこの通り、課題はさっき終わったよ」

そう言って机の脇で30cmくらいの高さに積まれた課題で出された問題集を叩いてみせる。

「えーっ、そんなに!?でもお兄ちゃんもう終わっちゃったんだ。すごいなー!」

「そんなことないよ。課題は一学期の授業の終わり頃から少しづつ配られていたからフライングで始めてたしね」

さすがにこれだけの量を1日で出されたら持って帰るのが大変だ。これらは終業式前日までに少しずつ配布されていたから、実質は2週間くらいかけて終わらせたことになる。

「僕のことより瑠環は……って、聞くまでもないか……」

案の定進んでいないのだろう。気まずそうに瑠環は視線を逸らしている。瑠環も真面目に取り組んではいるのだろうが、その攻略が芳しい状況でないのは毎年のことだから容易に想像できる。

もっとも、瑠環はゆっくり時間をかけながらでも投げ出すことなくきっちりやる子なので僕も心配はしていない。

それでも少しは様子を見てあげることになるのだろうけど……。

「けれど、随分早いんじゃないか?10時頃に出ようかって話をしていたのに」

今日は一緒に買い物に行こうと約束をしていたのだ。ちなみにこれは学園祭の準備に関わることであってデートとかではない。

「だってあたしのお洋服、お兄ちゃんの家にほとんど置いたままなんだもん」

なるほど。確かにそうだけれど……。

「それじゃあ、あたし着替えてくるね」

今の瑠環はシンプルな白いTシャツに膝丈のハーフパンツとラフな私服姿だ。

「うん?そのままでいいんじゃないの?」

ちょっと買い物に行くのにおしゃれはいらない。狭い店の中だと突っかかりの少ない動きやすい格好が望ましいと思う。例えば今のような。

「えへへ、ダメなの!」

嬉しそうに自室へと消えていく。瑠環の私服をはじめとするほとんどの私物は今うちに置いてあるから、身支度はもともとうちでするつもりだったのだろう。

それに完全に瑠環はデート気分のようだ。

「それじゃあ、しょうがないな」

しかたなく僕もそれなりに身なりを整えようと、僕は洗面所へ向かうために部屋を出た。

 

「わ、お兄ちゃん!洗濯物溜まってるじゃない!しょうがないなぁ」

向かった先で一足先にそこにいた瑠環が声を上げた。

「一昨日洗ったよ。一人分だし毎日洗濯機回すのがもったいない気がして」

「う、うん。そうだけど……」

やはり納得いかなかったのだろう。瑠環はかごに溜まっていた洗濯物を洗濯機に放り込むとそのスイッチを入れる。

動き出す洗濯機。これから出かける予定だったのだけれど、まぁいいか。

帰ってから干しても今の季節充分乾くだろう。

その後瑠環は部屋には行かずにキッチンへと向かった。どうやら自分がいなかった間、僕がどんな生活をしていたのか心配になったらしい。

「わわ、お兄ちゃん!冷蔵庫の中空っぽだよ!ちゃんと食べてたの!?」

「それは毎日食べきる分しか用意しないしね」

「う、うん。そうだけど……。あ、あたしのアイス食べちゃった!?」

「あ、ごめん。それは食べちゃった」

「ぶー、しょうがないなぁ」

きっちり帰りにアイスを買って帰る約束をさせられた。どうせ夕飯の買い物も済ませるつもりだったから構わないけど、瑠環が好きなのは2Lの徳用アイスだ。瑠環は夏休みの間両親の元へ戻る日も多いだろうから消費も進まないだろうし、その間我が家の冷凍庫を圧迫することになる。

「牛乳も卵も無い……帰りに買わなくちゃ」

瑠環は冷蔵庫だけでなく家中を見て回って買い物メモを作っているようだ。どうやら帰りの荷物は相当多くなりそうだった。

 

人によりけりなのだろうが女の子に比べれば男の準備は時間がかからない。

僕は比較的新しい黒のポロシャツと薄茶の綿パンといった普通の出で立ちで、髪型をいじるわけでなく、つまりはいつもと大して変わらない。

女の子とデートとかするならもう少し何か考えるべきだろうか?

それに対して、しばらくしてから現れた瑠環はといえば、瑠環はフリルのついた黒のワンピースに、黒のレギンスを組み合わせたデート気分全開の装いだった。僕が見たことないのだから最近買ったものだろう。スカートの下にレギンスを穿くのは出かける時の瑠環のいつものスタイルだが、鎖骨から肩まで出しているのは瑠環には珍しい大人っぽいものだ。背中も肩甲骨が見えるくらいまで開いている。

「えへへ、どうかな?」

大きな麦わら帽子を手にくるりとその場で回ってみせると、長い二つのお下げが少しだけ跳ねた。

「う、うん、いいんじゃないかな。瑠環……少し焼けた?」

とても似合っていると思う。けれど、素直にうまく言葉にできない僕はつい気になったことを口にしていた。

「うん。おじいちゃんの畑仕事手伝ってたから……ひゃあっ!?」

どうやら瑠環は今になって自分の身体が二の腕半ばから綺麗に色が分かれていたことに今になって気がついたようだ。

「き、着替えてくるっ!」

「あ、うん」

本当はそのままでも十分可愛いと言いたかったのだが、止めるまもなく瑠環は部屋へと飛び込んでしまった。

 

「ぐすん、恥ずかしい……」

またしばらくして部屋から出てきた瑠環は、さっきよりもシンプルなデザインの白いワンピースだった。日焼けの跡が見えないかしきりに袖や裾を気にしている。

「近いうちにプールか海に遊びに行こう。そこで綺麗に焼き直せばいいよ」

「本当?やったぁ」

「補習が終わったらね」

一応機嫌は直ったようだ。無邪気に喜ぶ瑠環の頭に置いたままになっていた麦わら帽子を被せると、僕は玄関へと踵を返した。

「そろそろ行こうか。軍資金は?」

「うん、ばっちり!」

畑仕事を手伝ったご褒美にしっかりとお小遣いを貰ってきたらしい。そのために思いがけず日に焼けてしまったようだが、この夏を楽しむためにはそれなりに資金は不可欠だ。遊びに行くのにも必要だし、何より二学期初めの学園祭に向けての準備がある。

今日もそのために買い物に行くのだ。

 

さあ行こう!ガンプラを買いに!

 

いざ家を出ようとしたところで、洗濯機が止まるブザーが鳴った。

 

 

 

                あとがき

 

なんですかね。この甘甘な生活は。爆発すればいいって思っちゃいますよね。

本当に書きたいのは血湧き肉躍る、かっこいい戦闘シーンなのにそこまで行くまでになんかこんなのばっかりです。

瑠環ちゃんばっかり登場なのもチームの小説としてはよろしくない……。

こっちが書き上がる前にチム面も入れ代わっていくし……。

学祭編には今年中に入れるのでしょうか?自分でも心配です。

 

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