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2016年1月

ふぁるぷだいありぃ その10

                         おことわり

この作品は、セガから発売されているオンラインゲーム。ファンタシースターオンライン2を元に、勝手な解釈と設定を持ち込んで書かれた二次創作物です。

そういったものが苦手という方や、不愉快に思うファンの方もいるかと思います。

まして、作者は素人であり文章もあまり読みやすいものではありません。全ては作者自身の自己満足のために書かれたものですので、本来読むことをお勧めはいたしません。

しかしそれでも、読んでやろうじゃないか!!という方、その後発生する感情を自己責任で処理するという事で、読んでいただくようお願いします。

 

 

 

学園祭に置ける当クラスの出し物について。

プランその1、休憩所1年1組。

学祭期間中は招待客のお年寄りを始め一般の家族連れなども数多く来場されるが、そういった方々が腰を下ろして休める場所は充分とは言えない。

そこで教室をフリースペースとして開放する。

一般客意外にも、出し物で教室が使えない生徒なども利用することが見込まれ、その需要は計り知れない。

準備も当日椅子や机をそれっぽく並べるだけで手間も人でもかからない。

僕的には超推奨。

プランその2、梅干し販売。

うちの庭には梅の木があって毎年その実を梅干やジャム、梅酒にしたりしているのだが。うちはこの春からはほとんど僕ひとりなのでとても食べきれない。

うちの物置には去年瑠環が漬けた梅干しが山のように残っている。

一粒でご飯が3杯はいけるくらい強烈に酸っぱいから全然減らない。なのに今年も瑠環がしっかり新しく漬けていったものだから現在我が家は梅干し飽和状態なのだ。

それを売ってみたらどうだろうか?

大して売れるとも思わないから利益は少ないだろうけど、こっちは梅干しを少しでも消費できればそれでいい。

「つまらん。両方とも却下。瑠環たんが漬けた梅干はよこせ。オレが食う」

しかしお祭り好きのリコたんは納得しない様子である。

「大体オレのいるクラスがそんな地味企画で済ませられるわけないだろう。周囲の期待は裏切れねぇよ」

地味でいいじゃないか。僕としてはあえて暇でつまらない企画にして、学祭中はのんびり他を見てまわろう。準備や後片付けは最小限で終わらせようという魂胆なのだから。

あと、こいつには一昨年母親が漬けた分でもくれてやることにしよう。

「まかせな、このクラスの特徴を生かした企画を考えているからよ」

そう言うリコたんの自信満々な顔に嫌な予感を抱えつつ、その考えを聞かされた僕はこう思わざるを得なかった。

こいつある意味天才だなと・・・。

 

 

 

1学期を締めくくるホームルームが終わって先生が退室すると、変わって教壇に立ったリコたんはそれを宣言した。

「俺たちのクラスは、学祭限定でアイドルグループをデビューさせたいと思う!」

当人はまさにドヤッっていう感じだったが、その時の周囲の反応は僕が聞かされた時と同じようなものだった。

みんなそれぞれ要領を得られないような表情をしている。「何ソレ?」みんなそう思ってることだろう。

「それってバンド演奏とはまた違うものなのかしら?」

そう言ったのは頭からうさ耳を生やしたショコミソ委員長だった。

「もちろん歌って踊ってもらうが、それだけじゃ個人かグループの発表になっちまうだろう?そこで活動の範囲を広げて、プロデュース、マネジメント、衣装、広報とかをクラスみんなでやってやろうってのがこの計画だ。どうだ乗るか?」

やることは歌って踊るライブステージがメインだが、脚本や演出を考えたり、舞台の設営、大道具小道具の準備たりといった演劇の要素と、関連グッズの制作販売やらと、模擬店の要素も盛り込まれている。

難しいけどやりごたえはありそうだ。

前例のない突飛な企画ながら、ショコミソ委員長も即却下せずにリコたんから詳しい内容の説明を聞いているのも彼女も僕と同じように思ったからだろう。

クラスメイトからも困惑の表情は既に薄れ、好意的に受け入れられている反応が見て取れる。

「確かに面白そうだけれど、。今からではステージや舞台に使えそうな場所の確保は難しいわよ?防音設備のない教室や部室塔では、ライブや楽器演奏といったものが禁止されているのは知っているわよね?」

「任せな、バッチリの場所を押さえてあるぜ」

僕もまさか今更そんないい場所があると思わなかったのだが、どうやらあったらしい。

広くて収容人数も十分で、騒いでも問題無く、他に誰も使ってなくて、色々美味しいネタを詰め込めそうな場所が。

それは学園の屋内水泳場。

ライブとかをするには音が響きすぎたり、機材が水に濡れないように気を付けなければならないなどの欠点もあるが、そこは工夫次第である。

この場所を思いつくとはさすがリコたんと唸らさせられてしまった。

「なるほどプールとは盲点だったわね。で、これが肝心だけどいったい誰をアイドルに仕立て上げるつもりなの?結構大変な役割になると思うけれど当てはあるのかしら?」

「もちろんだ。吉乃吉乃、ちょっちこっちおいで」

リコたんが窓際の自分の席でぼーっと外を眺めていたクレアさんの手をとって教卓の前に連れて行くと、その手を頭上へと掲げてみせた。

強引に連れてこられたクレアさん、ボクなんでここにいるの?って顔してるけど、大丈夫だろうか?

「ぅ?ボクなんでここにいるのぉ?」

ほら、やっぱり理解していなかった。

「吉乃!お前がこのクラスの、いや学園のアイドルとしてステージに立つ日が来たんだぜ」

「ぅう?ボクぅ?」

 

ク、レ、アーッ!

 

男子生徒が一斉に喝采を上げた。思ったとおり反応は上々だ。

しかしどこか浮かない顔のクレアさん。大変な役割だし緊張しているのかと思ったが、実際はまた別の不安を抱えていたようだ。

「ぅーぅ?それってジロジロ見られたりするぅ?」

クレアさんが上目遣いで伺うような顔で言う。可愛い・・・。

「おう、みんなの視線を独り占めだぜ!」

「ぇー、ヤダヤダヤダヤダ!ジロジロ見られるのやだぉ!」

予想外の拒否反応だった。

クレアさんちょっと涙目じゃないか。あーあ、リコたん泣かした~。

「そんなこと言われても、アイドルは見られるのが仕事だしなぁ」

クレアさんは目立つ方ではない。性格は純朴でやや天然、人懐っこいが自分から行動を起こすより誰かの後を自分のペースでついて行くタイプだ。

しかし決して存在感がないわけではない。

可愛らしい顔立ちと身長は低めだが制服越しでも見て取れるむっちむちのわがままボディは、例え本人が望まなくても自然と視線を集めてしまう。

そしてそれが大概は男子からのものであることはいかんともしがたい。斯く言う僕もつい視線が吸い寄せられてしまう事があることを否定できない。これは彼女の魅力がなせる技であって、どうにもならない。どうにもならないのだ!

天然でぼーっとしてるように見えても、本能的にそれを感じて不愉快にな思いをしていたとしても不思議なことではない。

少し恥じらう程度で断ってくるくらいならば、強引に押し通す気でいただろうリコたんも、こうなっては無理を言うこともできなくなったようだ。

「ふーむ。仕方がない予定変更だ。小春、おかず!」

「おかずって言うな!小和(こより)だよ!」

「うん?なぁにリコちゃん?」

双子の小春と小和。二人が揃ってこのクラスに在籍しているのは何かの奇跡か、それとも陰謀か。

ちなみに名前を間違えて言ったリコたんに怒ったのが姉の小春。

特に気にせず朗らかに返事をしてるのが妹の小和だ。

双子だからよく似ていて慣れないと見分けがつきにくいが、目印なのか趣味なのか、小春の方は頭の後ろに髪を束ねた房を付けている。

元々はセンターにクレアさん、両サイドにふたりを配置するつもりだったのだが、予定は既にクレアさんの説得失敗で狂ってしまった。

「アイドル?いいよ」

あっさり承諾したのは小和の方だ。

「何OKしてるのよ小和!あと、名前間違えられたのあんた自分で怒りなよ!」

一方そんな小和をたしなめる小春の方には反発があるらしい。それとおかずって以前からみんな呼んでるんだけどな?

「でもリコちゃん友達だし。それに困ってる人は助けなさいって、おばあちゃんいつも言ってるよ?」

「あんた、そのお婆ちゃんから、馬鹿な連中に騙されるんじゃないよ、貞操は大事にしなってよく言われてるの意味わかってるのかしら?」

元気なしっかり者の小春と温和でおっとりした小和。いつもの微笑ましい光景である。

「でも、リコちゃん困ってるみたいだし」

「小和、騙されちゃダメよ?ほいほい話に乗ったが最後、いかがわしい格好させられて、えっちなビデオ撮られたりするんだから」

「おい小春!お前オレをなんだと思ってやがる!?」

「えっち、すけべ」

「むきーーっ!」

普段は仲が悪いことはないのだが、どうもにも信用が無く話が進みそうになさそうだ。

もっとも、リコたんによるプロデュースの時点でそれも仕方がないのかもしれない。

「まぁまぁ、こいつが暴走しないように僕がしっかり見張ってるから、ここは一つ協力してくれないかな?」

仕方なく僕が横から助け舟を出すことにする。

小春とは中等部からの付き合いで、一緒に剣道で切磋琢磨した仲だ。

僕から頼めば小春も無下に断ったりはしないだろう。

「嫌。まったく信用できない」

予想に反してばっさり斬って捨てられた僕。

僕たちは宿敵と書いて友と呼び合う仲だったはずだ。それがどうも今日は小春は機嫌が悪いのか、話を聞く気はないようだ。

「ふーん、それならこれはなにとな?」

「となっ」と出された小春のスマホの画面には、僕も今朝見た報道部のウェブニュース。

それのおかげで誠実で売ってきた僕の株は大暴落である。

もっとも記事の方は、中等部の悪魔のしっぽによる腕力を伴う異議申し立てによって朝のうちに削除されているのだが、その頃にはほぼ学園中に拡散していたことは間違いない。

現に小春はしっかりと保存をしているようだ。

「そ、それはこいつが勝手に撮った写真を、報道部の連中が面白おかしくでっち上げたんだ!」

ぐいっとリコリスの首根っこを掴む。

「てへぺろ」

「だーめ、そんなミルキーな顔したって許さない」

僕はその記事のおかげで朝から不特定多数の人から命狙われることになったのだ。

しかしなぜそれで小春が機嫌が悪いんだろう?

普段なら僕の不幸を笑いながら見ていそうなものなんだが。

「いたいけな少女をはべらす夜の貴族?うわっ、何膝枕なんてしちゃってるの?こんな小さい子まで、最低」

ぷんすかしながら画像を眺めている小春。これはしっかり弁解させてもらわなければなさそうだ。

「味見したチコちゃんがみりんで酔っ払っちゃったんだよ!僕はそれを介抱していただけだ」

そのときはどうも僕のことを本当のお兄さんと勘違いして甘えてきたのだ。

酔っ払いに絡まれたら逆らうなと、以前飲み会から帰ってきた父さんが疲れた様子で言っていたことを実践したに過ぎない。

他の子だったら流石に手を焼いただろうが、幸い小さくて軽くて力も強くないチコちゃんはそんなに手がかからなかった。

ほわほわと寝ぼけているかのように甘えてくるチコちゃんを、兄に甘える妹というのはどこも似たようなものだと思いながら、家族の方が迎えに来るまでやりたいようにやらせておいただけである。

「よくあることだろう?」

「・・・そんなわけ無いでしょ!ならこれは?あんたいつも女の子に食べさせてもらったりしてるわけ?」

次に小春が見せたのは僕がおさげ髪の女の子に食べさせてもらっている画像だ。

目隠し線は入っているのだが誰が誰かは一目瞭然である。

ちなみに朝この画像を見た瑠環は怒るでもなく、恥ずかしそうに、でも何故か妙に嬉しそうにしていた気がする。

その時の瑠環の心理はわからないが、この画像で僕に何一つやましい事が無いことだけは断言できる。

「兄妹で食べさせ合ったりって普通だろ?小春と小和だってよくやってるじゃないか」

そのとき一瞬教室の中が凍りついたかのように静まり返った。

ん?何か変なこと言っただろうか?

「・・・あ、あんたと瑠環ちゃんは血が繋がってるわけじゃないじゃない」

まったく、世間というのは血縁とかいうのにこだわりすぎだと思っている。これについて僕はしっかりとした持論がある。

「血の繋がりって大事なのか?瑠環との付き合いも長いからな。一緒に遊んで、同じ釜の飯を食って一緒の風呂に入って、同じ布団で寝たりして実の妹以上に長い時間を過ごしてきたんだ。あいつが僕を兄と呼ぶなら僕も妹としてあいつを受け入れるのは当然じゃないか」

再び静まり返る教室。

不思議に思ったが、僕は今結構いいこと言ったと思うし、みんなそれに感動したのだろう。

小春はなぜかダメージを受けたかのようにぐったりしている。その横で小和が顔を背けて肩を震わせていた。爆笑している。なぜだ?

「だったらこれは?一応聞いとくわ。一応・・・」

夜の公園での逢瀬。その日少年と少女は大人の階段を駆け上る・・・。

学校新聞の記事としては色々アウト過ぎないだろうか?

人気の無い公園でもつれ合うように倒れる男女の姿は確かにそういう風に見えなくもない。

「お前これ見てたのかよ」

「風紀委員から逃げ回ってるときに偶然見かけて撮ったやつだな。面白そうだったけどこっちもそれどころじゃなかったんでその後の顛末は知らないんだがな」

「それは漢同士の避けられない戦いだったんだ。卑猥な目で見るもんじゃない」

「まぁ、これは何があったか大体想像できるんだけどね・・・」

ミュラの人となりを多少でも知っている者ならば大抵そうだろう。

その画像に写っているのは勝者と敗者であってそこに色気もロマンスも有りはしないと・・・。

本当のところはそれだけでもなかったのだが、わざわざ自分で墓穴を掘るような発言をする僕ではない。

うかつな発言は死を招く。キジも泣かずんば撃たれまい。

「な、誤解は解けただろう?だから安心してアイドルをやってくれないか?]

「絶対嫌よ!」

なぜだろう?さっきより否定の色がより強くなってる気がする。

「小春はね、自分のいないところで楽しそうにやってる彩乃介くんを見てやきもち焼いてるんだよ」

「小和っ!いい加減なこと言わないでよ!」

小春が僕にやきもち?いや、それはないだろう。

 

実は中等部2年生の秋のことだが、僕は小春に告白してふられているのだ。

 

確かにあの夜、友人として小春達も誘うという選択肢はあったんだ。

でも僕の中に小春を避ける気持ちがあってそれを選べなかった。

小春への恋心はもう吹っ切れてるつもりだが、それが再び復活するのではないかという恐れと、小春には他に好きな奴がいるのだろうという思いもあって、僕はクラスがまた同じになってからも小春と話すことも避けていた。

だから小春が僕にやきもちとか言わないで欲しい。期待してしまうじゃないか。

現に今僕の胸のあたりから暖かくてどこか酸っぱいような感覚が湧き出してきている。

懐かしい感覚だった。

「あのさ・・・。今度は呼ぶから、その時は来てくれるか?」

「さぁね?でも声くらいはかけなさいよ」

「わかった。今度からそうする」

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

「あーもう、やってらんねーぜ」

こら、ムード壊すなりこたん。空気読むのって大事だぞ?

「ほら、あんたも仕事にもどりなさい」

小春に押されて僕は後ろ髪を引かれるような思いでりこたんのあとに続く。

あちこちからため息や、行儀の悪い舌打ちが聞こえてきたが、そんなのが気にならないくらい僕の心は温かいもので満たされていたのだった。

 

「ジョウ、もうお前でいいや。アイドルやれ」

そしてりこたんはといえばなりふり構わず、クラスの女子に片っ端から声をかけまくっていた。

しかし宿敵のはずの風紀委員長のジョウにまで声をかけるとはいい度胸である。

もっとも容姿的には文句はない。

スタイルはいいし間違いなく美人の部類に入る。

しかしアイドルというより、ヘビーでメタルでデスな感じのロックの方が似合うと思う。

「報酬は?」

「そうだな。先行投資が・・・ゴニョゴニョ・・・。売上の予想が・・・モグモグ。あと色々根回しに・・・モニュモニュ。オレのマネジメント料で・・・フモフモフ。大体残り3割ってとこかな?」

「俺の報酬が7割で受けよう」

「なんだとっ!?おい馬鹿言うな!残りの3割じゃ根回しや準備費用だけでも足が出ちまうじゃねーか!」

「知るか。俺も何かと忙しい。それ以下では受けん」

「こいつ、足元見やがって。もう頼まん!」

交渉決裂。しかしめげずに今度は教室の窓際の最後列という特等席で、机に突っ伏して寝息をたてている女子生徒へ声をかけた。

「フェリオ~」

返事はない。完全に寝入っているようだ。

しかしリコたんは気にしないようだった。

「フェリオー、コロッケパン奢ってやるからアイドルやってくれ」

最初から報酬を提示して交渉に臨むりこたん。しかし1個130円のコロッケパンとはいくらなんでも安くないだろうか?

熟睡していると思われたフェリオが動いた。綺麗な手をパーにして広げてみせる。5個?いや、5日分だろうか?

僕にはよくわからないが、二人の間ではそれで報酬面の話はまとまったようである。

気だるげに顔をあげるフェリオ。起きてる時の顔を見る事はめずらしい。綺麗な子だけにもったいないと思う。

「・・・それって時間かかる?」

「リサイタルは期間中2回はやりたいな。あと写真の撮影会に握手会。特別招待客のお年寄りの接待に1時間生徒会長とかもあるから、ほぼ出ずっぱりになるなー」

「う~ん・・・。無理。そんなにおきていらんない」

さすが稼働率2割を自称する眠り姫だ。

彼女は興味を失ったようにパタンとまた机に突っ伏してすぐに寝息をたて始めてしまった。

某有名メガネ少年の如き寝つきの良さだった。

・・・だめじゃん。

「一応聞くがコミたん委員長・・・」

「却下よ、すっごく忙しいの」

「うぐぐ・・・」

最後の希望であった委員長にもすげなく断られ、これでクラスの女子は全滅だ。

残念だがしかたがない。他の企画考えるかという雰囲気になったところで、僕とリコたんがあえて見ないようにしていたところから手が上がった。

「ねえ、それって男じゃだめなの?男でもいいならボクやってもいいけど?」

僕とリコたんの首がギギギ・・・と軋むような音を立てるかのように声の方へと向けられる。そこには学園屈指のイケメンで知られる千尋がいた。。

たしかにそれは考えた。最初から女の子限定で考えた企画ではない。だが、それは不可能なのだ。

何故か?

それは千尋。他でもなくお前がいるからだ。

「一人でもいいけどできればユニットでやりたいな。な、彩乃介?」

ぞっくりと、背中に悪寒が走った。

それどんな罰ゲームだよ。

この学園の多くの女子にとって、このクラスの男子は千尋とその他大勢でしかないのだ。

やるなら一人でやってくれ。他男子は後ろで肩組んでラインダンスでもやっている方がマシである。

それに千尋を表舞台に上げづらいそれとは別の大きな壁があった。

「却下だ。お前のねー様方に貸しを作るのは怖すぎる」

天下の千尋様で稼がせて頂く為のもう一つ大きな大きな壁、それは彼の姉君様達の存在だ。

千尋は5人姉弟の中の男一人。姉妹それぞれいるらしいが、とにかく彼女らの承諾なしに千尋は使えないということ。

「姉さん達ならノリノリで手を貸してくれると思うけど?」

僕とリコたんの顔から一斉に血の気が引いた。

「ハードル上げられても困る・・・。ここは思いとどまってくれ」

ふたり揃って90度で頭を下げる。それは懇願だった。それくらい彼の姉妹は怖いのだ。

しかしだ、ユニットにせよソロにせよ、このクラスの男子でやるなら千尋は絶対外せない。抜きでやろうものなら他に誰が何人出ようと、ステージに上がった途端ブーイングが起きるか相手にされないかだ。

それは企画を考えた時点で容易に予想できたことで、結論を言えばこのクラスの男子でのアイドルデビューはありえない。

「こうなったらオレによるオレの為のオレ得オンステージをやるしかないか・・・」

リコたん尽くしの学校祭。

リコたんライヴ、リコたん握手会に撮影会開催!

リコたん写真集、リコたんDVD発売決定!早期予約特典にはリコたん抱き枕カバーが付いてくる!

「やめろ、偉い人がカメラの前で謝らなきゃならなくなる。先生方何人か首飛ぶことになるだろ絶対!」

「学園の風紀を乱すことは俺が許さんぞ?」

「学園の卒業生や進学を控えた先輩方から睨まれそうだからやめてよね。これ以上の面倒は絶対ごめんよ」

僕とジョウと委員長が一斉に却下してこれにて試合終了。

1年1組アイドル創造計画は1次審査の結果採用者はゼロとなりました。

 

「面白い企画だとは思うが、やはり一部の生徒に負担がかかりすぎるのではないか?」

ショコミソ委員長の言うとおりかもしれない。

結局企画は練り直しになったがすぐに良案が出るはずもない。

「仕方ねーな。こうなったらもうみんなで脱いで、水着喫茶でもするか。このクラスのレベルなら確実に稼げるだろう?」

出た。みんなで脱げば怖くない理論。

まあ、せっかくプールを抑えているんだ。そう悪い考えでもないかもしれない。

このクラスの女子は可愛い子が多いし、男子だって千尋以外にもそれなりに男前がいないわけではない。

リコたんの意見に若干不満そうな顔をしているのもいたが(小春とか小春とか若干クレアさんとか)、

概ねは賛成な様子である。

「だめね、脱げば勝てるなどと甘い考えを持っているならば大間違いよ」

却下を出したのはクラスのご意見版ショコミソ委員長。

委員長はその場にいる面々を見渡して言った。

「飲食系の申請を出しているクラスは8クラス。その内訳は、クラシックメイド喫茶、チャイニーズ喫茶といった鉄板はもちろんだけど、チア喫茶、メカコス喫茶、博多祇園山笠のちゃんぽん屋、軍事機密入手!潜水艦のカレー屋さん、リアルラビットハウス、アスナさんの料理を再現してみた!・・・これはクラス企画だけで各部活動の出店も加えるとその3倍はあるわ。みんなそれぞれ知恵とアイデアを絞ってきてるのよ?そんな中に水着喫茶?そんな3秒で思いつくようなネタ、最後にのこのこ出てきて口にできると思っているの?」

実行委員がアイドルデビューなどと荒唐無稽なことを考えてる間に、しっかりと他所のクラスの情報を集めてくれていたようだ。

さすがは我らが委員長。頭のうさ耳は伊達じゃない。

これにはりこたんを始め、僕やクラスの皆も黙らざるを得なかった。

「むぅ・・・。確かにインパクトが足りなかったか」

「うん。もう少しみんなでアイデア出し合っていこう」

「こうなったら、みんなにはもう一枚脱いでもらうしか無ぇな・・・」

こいつ、学祭でみんなを素っ裸にする気か?

話し合いが再び混迷を極めるであろうと思われたその時だった。

 

「はははは!困っているようだな!」

 

教室の外から声がした。

そしてガラリと大きく教室のドアが開け放たれる。

現れたのは男女の二人組。

「あなた方は!?」

「困ったフォトンを感じ取り、六芒均衡参上!俺達が来たからにはもう解決だ!」

イケメンだが暑苦しい雰囲気のヒューイ先輩と・・・。

「おう、わたしもいるぞっ!」

ちっちゃくて可愛いけど態度はLサイズのクラリスクレイス先輩だ。

ちなみに六芒均衡とは、なんかよくわからないけれど、アークス学園を影で盛り上げることを使命としている謎の集団だ。

その発言力、権限、実行力は極めて強大で、生徒会はもとより教職員、理事会までもその意向を無視できないと言われている。

今現れた、ヒューイは大学部の学生で、クラリスクレイスは高等部2年生の先輩だ。

他にも学生やら、理事の人や、鬼体育教師もメンバーらしいが、彼らの年齢や立場その陣容はてんでバラバラで、彼らがどういう経緯で結成され、何を基準に選ばれているのかはよくわかっていない。

ただ、彼らが動けば何かが起こる。それは間違いない。

「結構です。お引き取りください」

ガラガラピシャン。

問答無用で扉を閉めてしまう。

まったく、あの人達が関わることといえば、絶対面倒なことだろうからな。

二人を締め出した僕の行動に異議を唱える者はいなかった。

「ま、まて・・・。俺の話は君たちにとっても決して悪い話ではないはずだ」

しかし、めげずに窓から顔を出す六芒均衡。

「・・・では伺いましょうか?」

仕方がない。うるさいし要件くらいは聞いてみてもいいだろう。

「それはな、これだ!」

得意げに突き出されたヒューイの手には全高約10cmくらいの人型の玩具。力強く心躍るデザイン。白と青の鮮やかなカラーリング。それは・・・。

「あれは、HGUCHi-νガンダム!」

そこにいた大半が理解できず、反応に困る顔をする一方で巨漢の模型部員の野太い声が教室に響いた。

有名な機体だから僕もそれは知っている。ただ、それがなぜ今ここで出てくるのかということだ。

「あの、それが何か?」

「うむ。実はまだここだけの話なのだが、ガンプラバトルアークス学園大会を開催したいと思う!」

クラス内が少なからずざわめいた。

ガンプラバトル。それは謎の魔法の粒子でガンプラを本物の兵器のように操り勝敗を決めるという、近年人気上昇中のエンターテインメントである。

「話を聞かせていただけますか?」

手のひらを返してふたりを招き入れる。

馬鹿でかい声で、廊下から話されてもほかのクラスに迷惑だろうし、何より話を聞く価値は十分にあると思ったからだ。

僕が促すと、窓を乗り越えて入ってくる二人。

いや、普通にドアから入ってくればいいと思うのだが、言っても無駄だろうから何も言わないことにした。

教室に入って教壇に立ったヒューイ先輩は、アークス学園ガンプラバトル大会と黒板に大きく書きなぐった。

「学祭の期間中、競技用バトルシステムを一式借り受けてひとつ盛大に行いたい。だが、何分俺たち六芒均衡もガンプラについては初心者ばかりで、バトルのことはよくわからん。そしてなにより、学祭中は忙しくて人手も足りん。そこで、未だに企画も上がっていない君たちのクラスに話を持って来たというわけだ」

なるほど、話が読めてきた。

「つまり、このクラスの出し物として、そのガンプラバトルの大会を企画運営しないかということですか?」

「うむ。話が早くて助かる。もっとも強制じゃないぞ?せっかくの学園祭だ。自分たちで考えた企画をやりたい気持ちもあるだろう。別に断ってもらってもそれは仕方がないことだ。開催できなかったからといって、バトルシステムのレンタルをキャンセルするだけだし、他にも企画はいくらでもある。学祭の運営には特に影響も無いからな」

「そうそう。元々はヒューイが先走ってシステムのレンタルの話を進めてしまったのが悪いのだ。キャンセル料はヒューイの自腹だから貴様らは何も気にしなくてもいいぞ?」

「ああ、その通りだ。俺が後でめちゃくちゃ怒られるだけだからな!はっはっは!」

「わっはっは!」

六芒均衡の先輩二人が高らかに笑い声を上げる中、僕はクラスの皆に賛否を問いて満場一致で可決された。

 

 

 

緊急告知!

 

学園祭特別企画、ガンプラバトルアークス学園大会開催決定!詳細は随時更新予定!

夏の終わりにバトルで熱く盛り上がろう!We're ARKS

 

日時。9月2日、予選。

    9月3日、本戦トーナメント。

 

場所。アークス学園屋内水泳場。

試合形式 2vs2によるチーム戦。

出場資格、アークス学園生徒、教職員。

大会参加の申し込みは最低二人以上で8月22日全校登校日までに運営委員会に届け出ること。

備考、出場選手は水着着用。使用するガンプラは防水加工必須!

主催、六房均衡 

運営委員長、高等部1年1組 彩乃介

大会の告知は報道部、新聞部の協力のもとすぐに行われた。

何分前例のない企画のため、どれくらい参加者が集まるかさっぱりわからないのだ。またガンプラの準備も必要なため募集は早いほうがいい。

とはいえその場で参加を表明した模型部となぜか風紀員。あと何名かの生徒、それだけでも10名以上が参加の意思を示していたし、なんて言っても人気のある競技で注目度も高いだろうということでそれなりの人数が集まると見込んで1日目を予選に当てることにした。

会場はリコたんが抑えていた屋内水泳場を使うことになった。ガンプラバトルのシステムは完全防水になっているらしくプールでの使用も問題ないらしい。

ただし参加選手は濡れてもいい格好と、ガンプラも水に落ちても大丈夫な作りであることが求めらる。

つまりシールを貼ったら、上からトップコートくらいはしっかりかけておきなさいということだ。

今日のところは概要をおおまかに決めたところまでで、詳細はこれから煮詰めていくことになった。

 

 

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん!」

家に帰ると先に帰っていた瑠環が携帯を片手に走ってきた。

そこにはついさっき報道部に依頼したばかりの、ガンプラバトル大会開催の通知の画面が開かれていた。

帰る前のことだからまだ30分ほども経っていない。随分早く気がついたな。こいつニュータイプか?

「これ本当にやるの?」

「ああ、出たいのか?」

こくこくと頷くおさげ髪。

瑠環は年頃の女子としては珍しいことにロボットやプラモデルなどの模型作りなどが好きだったから、これを知れば絶対出たがるだろうと思っていた。

「よし、なら夏休み中に大会用のガンプラ用意しないとな」

「うん!」

僕たちのガンプラの夏が始まった。

 

 

 

あとがき

 

妄想って吐き出さないと溜まって辛いですよね?

そんなわけでふぁるぷだいありぃはまだ続きます。更新は遅いですがそこはご容赦ください。

キャラ貸してくださってるチームのみんなありがとう!今後も勝手に使って続けます。

さて、今回はフラグが立ったり折れたり忙しいことになりました。

まず、学園祭の企画決める前までに吉乃さんの好感度が足りず、吉乃さんシナリオ学園アイドル編に入ることができませんでした・・・。

すみません吉乃さん。わたしアイマスもラヴライブもやってなくて・・・。

そんなわけで、話は約束通りロボットものになります。文句は聞かないです。

あと、今回クラスメイトとして小春ちゃん、ふぇりおん、ななおさんとこの千尋君にも登場してもらいました。

前のでもちょこっと出てきてますけど、千尋君には貴重な男友達キャラとして、小春ちゃんには友達以上恋人未満な腐れ縁系ヒロインとして、ふぇりおんには居眠りキャラとして今後も使わせてもらおうと思います。

 

次にチームメイトをイメージしたガンプラを今後ちょこちょこ作っていこうと思ってます。

上手くはないけど好きなので・・・。

まず第一弾はダブルオーベースで・・・これだぁれだ?

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新春2016・・・。

新年明けましておめでとうございます。

一応このブログはまだ生きてます・・・。

まだ生きているんです・・・。

今年もよろしくお願いします・・・。

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