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2014年10月

ふぁるぷだいありぃ その6

                7月18日

            ~中等部相撲大会会場~

 

中等部相撲大会女子の決勝戦。

応援に来ていた僕は瑠環とチコちゃんと一緒にその様子を固唾を飲んで見守っていた。

各クラスから選ばれた代表2名ずつが出場して、総勢24名で行われる決勝トーナメント。それを勝ち抜いて、ミュラと相対するのは相手は全くノーマークの1年生だった。

1年生が決勝にまで勝ち上がってくることは、大会史上初めてのことらしい。昨年優勝したミュラでも一昨年の大会では一回戦で敗退している。

はてさて、どんな怪物が出てきたかと思えば、試合が始まるまで周囲の視線におろおろしているような大人しそうな子で驚いた。

背丈もミュラと同じくらいで、ミュラよりややふっくら柔らかそうな感じだが、体つきは同年代と比べても小さい方だろう。

虎や熊を押しのけて、モモンガと兎による決勝戦といった様相である。

しかし、愛らしい見た目に反して二人の勝負は白熱したものになった。

ミュラの腕力を身を持ってよく知っている僕としては少し信じられなかったのだが、この1年生の女の子は膂力でミュラを上回っているようだ。同程度の体格でミュラと互角の力比べができる者はこの学園でもそうはいない。

数少ないその1人が僕の横にいるが、(瑠環は僕が絡むと無敵のパワーを発揮するらしく、それは付き合いの長いミュラも含め誰もが恐れている)そういった者は何かしら知られているものだ。ミュラにしても見た目からはそう強そうには見えないが、地元民ということもあり、小学校時代に残してきた逸話や、抜群の運動神経もあって入学当初から各種運動系の部活動やクラブから目をつけられていた。

力で勝っていても、技量ではミュラが上回っているようだ。

相手の力を受け流して、何度か投げ技が決まりそうになる瞬間があった。しか、その一年生は、倒れそうになるのを耐えて、少しずつミュラを土俵の隅へと追い詰めていく。

それでも最後にはきっとミュラが勝つ。僕はそう思っていた。

ぎりぎりでの逆転劇はミュラの得意技だ。小柄なミュラはそうやって何度も大きな相手を倒してきたのだ。

しかし、その瞬間が訪れることはなかった。

その1年生はそのまま力に任せて押し切ろうとすると思われたが、意外なこと投げ技を仕掛けた。非効率だろうと思われたが、それがミュラの意表を突いたようだ。対応できずミュラの体が土俵の外に投げられ、倒れた。

行司役の体育教師が勝負の終わりを宣言して・・・。

周囲から歓声と拍手が上がった。

しかし、同じくらいの人間がその瞬間に息を呑み、言葉を失った。

僕と、横で一緒に応援していた瑠環にチコちゃんも同様だった。

ミュラが負けるなんて想像もしていなかったのだから・・・。

 

                 ~自宅~

                 PM6:00

 

ハーレム。

僕の家に集まった8人の女の子達眺めて、そんな言葉が頭をよぎった。

今日の中等部で行われた相撲大会の健闘を称えるためにと、メリアさんの呼びかけで催したちゃんこ鍋パーティ。

参加者は僕、瑠環、吉乃クレア、メリア姉妹にチコちゃん、ミュラ。

そして。

「お?皿が空やん。遠慮せんでじゃんじゃん食べればいいんやで?」

隣に座っている少女の皿が空いているのをめざとく見つけたのは、よみねこさん。ミュラやメリアさんの友達らしい。黒髪とどこか胡散臭い関西弁が特徴だ。

当人は「うちのことはみーこでええよ」と言っていたから、以後みーこさんと呼ばせてもらうことにする。

「あの、そんなにいっぱい食べられませんから!」

みーこさんに野菜や肉を皿いっぱいに盛り付けられて困っているのは瑠環、チコちゃんのクラスに最近転校してきたというシュガレットさん。

小さな身体に綺麗な金色の髪。端正な顔立ちで、最初会った時は、人形が歩いているのかと思った程だ。

「来年は優勝目指せるように、今から肉つけとかんとあかんよ?」

「別にお相撲が強くなくてもいいです!」

彼女達とは今日初めて話をしたのだが、楽しんでもらってるようで何よりである。

あとついでに、なぜかリコたん。

こいつ、この大会の影で賭博を開いていたのがバレて、お尋ね者となり逃げ回っていたはずなのだが、どこで嗅ぎつけたのか、獲れたてだとか言って猪の肉の塊をもって現れたのだ。

そのときは肉だけ奪って追い出そうとしたのだが、チコちゃんが「リコたん先輩だけ仲間はずれにしちゃ可愛そうです」と怒るから、しかたなく置いてやっている。

食べ終わったらすぐ当局に通報してやることにしよう。

鍋は各自で持ち寄った材料をメリアさんと瑠環とで料理したものだ。リコたんの猪の肉が増えたために、急遽もう一つぼたん鍋が用意された。

中等部の二人は今日の主役なのだからと、料理は僕とクレアさんでと思ったのだが、二人にきっぱりと断られてしまった。

「お兄ちゃんはお皿並べてて」

「お姉ちゃんは座って待ってて」

といった具合で、まぁ、実際の料理スキルを考えれば仕方がなかっただろう。

噂には聞いていたが、メリアさんの料理の腕は大したもので、鍋はもちろん、付け合せに用意された料理もとても美味しかった。

ちなみにクレアさんにはテーブルを9人座れるだけのテーブルを並べる会場作りや、配膳などを手伝ってもらったのだが、メリアさんがなぜ「座って待ってて」と言ったのかがよく理解できたということを、ここに追記しておく。

「メリア先輩。卵とってください」

「はい。どうぞ」

「わーい。ありがとうです」

「どういたしまして。お姉ちゃんもいる?」

「ぅん。頂戴メリア」

各自、鍋や料理を楽しみ、会話も進む。

そんな中、一番上座に座るミュラだけが暗く沈んだ空気を醸し出していた。

彼女は今年の中等部相撲大会女子の部で準優勝に輝いた、今日のパーティーの主役である。

「ミュラ先輩、こっちのお肉煮えてますよ。とってあげますねー」

「ミュラちゃん、こっちのネギや野菜もいい感じ」

「おう、肉食え肉!」

「もぐもぐもぐもぐ・・・」

会話に交じることなく、周囲から次々運ばれてくる料理を黙々と平らげていく様はさながらブラックホールのようである。

「ミュラにゃん、このしいたけも美味しそうだぉ。はい、ぁーん」

「ガルルルル!」

「ひぃ!」

しいたけはお気に召さないらしい。

「クレアちゃん、ミュラちゃんはしいたけが嫌いだから」

「ぅーぅ。美味しいのにぃ・・・」

瑠環に指摘されて、しょんぼりと自分でしいたけを頬張るクレアさん。

「ミュラ暗いなぁ」

「はい。ミュラちゃんに元気を出して欲しかったんですけど」

この鍋パーティーをやろうと言いだしたのはメリアさんだ。優勝を逃して落ち込んでる友人を励ましたかったのだろう。

メリアさんは本当にいい子だと思う。

「うーん。今年の大会は大荒れだったからなぁ」

おー。さすが裏で賭けの胴元やってた奴の言葉は重みがあるな。

リコたんは本当にどうしようもない子だと思う。

「ミュラっちが1年坊に負けてショック受けてるのもわかるが、相撲部の連中は今頃マジでお通夜だろうよ?決勝トーナメントに出場してた女子部員5名は二回戦でまさかの全滅。まぁ、相撲部員は潰し合うようにトーナメント表は作られるんだが、それでも前代未聞だぜ」

確かに。今年の女子相撲部員は立場がないだろう。

男子の方は例年通り、相撲部の独壇場だったのだが・・・。

「・・・さぞ胴元は儲けたんだろうな?」

「言うな、相棒。儲けすぎて密告くらってこの樣さ・・・。コミたん委員長、本気でオレの命狙ってやがるからな、おちおちねぐらにも帰れやしねえ・・・」

それでうちに来たのか。もっとも因果応報。まったく同情する気にもならないけれど。

「まぁ、今年は男女戦がなかったからなぁ。男子で優勝した相撲部主将は案外ほっとしてるんじゃないか?」

男女戦というのは、閉会式後に悪乗りで行われている、男子と女子の優勝者による非公式戦である。

今年は女子の優勝者だったその1年生の子が試合を辞退したため行われなかった。

去年ミュラはその試合で当時3年生の相撲部元主将に勝ってしまうという冗談のような快挙というか、伝説を残している。

今年も期待が大きかっただけに残念がる声も多かったのだが、優勝した一年生の子が小さな声で。「裸の男の人と組み合うなんて、恥ずかしくってできません」

と、初々しく顔を赤らめて言うものだから仕方がない。むしろそれが好意的に受け入れられて、それ以上煽り立てることも無かった。

ただ、先輩の雪辱を晴らそうと気合を入れていたその現相撲部主将は、それこそ肩透かしを食らった気分なのではないだろうか?

「先輩?この悪党と何を話てるん?」

みーこさんが言う悪党とはリコたんのことだ。

彼女は風紀委員なのである。

本来彼女はリコたんを捕縛。または居場所を同胞に知らせなければならない立場なのだが・・・。

「お鍋の前で喧嘩することは許さない」

「お兄ちゃんの家で喧嘩することは許さない」

「ほれほれ、肉だぜ?食いたくないか?」

というメリアさんと瑠環の説得と、リコたんの交渉によってこの場では一時休戦ということになっている。

「今年の大会の話だよ」

「ああ。うちもあんな大人しそうな1年生が優勝するとは思わんかったわ。何もんなんあの子?」

賭けの胴元をしていたリコたんなら、有力選手のことを一通り調べていたはずだ。

「わかんね」

と、あっさり言うリコたん。

「市外の学校から今年入ってきたやつみたいでな、今は寮に入ってるんだが、地元がここから遠くてリサーチする暇がなかったんだよ。ちなみにそのクラスの代表はクジで決めたそうだ」

トーナメントに出場するのは各クラスから2名ずつ。一応予選を行うことにはなっているが、実際のところ代表が2人決まればそれでいいわけで、真面目にやらないクラスは多い。

クラスに相撲部員やガタイのいいやつがいれば、そいつに任せてしまえばいいのである。

「使えない悪党やなー」

「なんだと?やるか?」

二人の間に火花が散った。・・・ように見えた。

「みーこちゃん。約束」

「喧嘩は許さない」

すかさず周囲の仲裁が入ったが、みーこさんの皿から鶏肉が一切れリコたんの口にワープする。

「もぐもぐ・・・。実際本当にわかんなかったんだよ。有力選手になりそうな武道経験者やアスリート。クラブや道場に通ってたやつはもちろん。小学校や町の大会とかでの成績優秀者とかは調べてたんだがあの子の名前は全く出てこなかったぜ・・・」

「ふうん。今回あの子のおかげで悪が一つ滅ぼせたんやでこっちはありがたいんやけど」

リコたんが箸を伸ばそうとした先にあったネギがみーこさんの口に瞬間移動。

「てめぇ・・・」

「ふふん」

その後箸でチャンバラを始めたふたりは、仲良く庭に放り出された。

 

やがて楽しい時間も終わり。みんなで協力して片付けを済ませ、各自それぞれ家路に着く。

「お兄さん、瑠環ちゃんまたねでーす」

「お邪魔しました」

チコちゃんとシュガちゃんはチコちゃんの家族の方が迎えに来て一緒に帰っていった。

「売りやがったな!相棒!覚えてろよ!」

リコたんは、僕がこっそり呼んでおいた生徒会と、風紀員に追われて消えていった。

みーこさんもそれを追いかけていく。

そして・・・。

比較的家が近い所にある吉乃姉妹を送っていった帰り道。

近道をしようと踏み入れた公園。

・・・そこでブランコに座るミュラを見つけた。

 

 

 

                 あとがき

またも思いっきり相撲やってます。

なんで?って思うかもしれませんが、この世界にはフォトンの剣もテクニックもありません。

でもちょっとぐらいバトルな展開があってもいいよね?

でも空手や柔道は競技としてルールが難しい。

ガチ喧嘩とか論外で蹴ったり殴ったりさせるのは嫌です。

そんなわけでこうなりました。

それに、お相撲してる女の子ってなんか可愛いくないですか?

取っ組み合って組み伏せたり、投げ飛ばしたり、転がったり・・・。

・・・少数意見ですか?そうですか・・・。

・・・まぁ、いいです。

さて、この話以降から、ヒロインごとにルート分岐させていこうと思います。

そこでいままで時系列ごちゃごちゃしてたので、この話から作中の日付を入れてみました。

暇なときに、過去の話も改訂して整理していくつもりです。

二ヶ月ぶりの更新となりましたが、今後も何卒よろしくお願いいたします。

 

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ゲームをする時間しかない!

いつしか秋も深まり、衣替えの季節となりました。

家の庭では金木犀も満開で、栗も拾いきれないほど転がっております。

空気も食卓も甘く美味しい季節ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

かくいう私めはといいますと、この日記の先月分を見て頂ければわかるとおり、9月は何にもできませんでした!

まったく、夏の勢いはどこへ行ったのでしょう?

まぁ、なぜかと言われればPSO2が忙しかったためでしょう。

連日デイリーオーダーの消化に追われて大忙しです。その分報酬も美味しいので、かつてない潤沢なメセタで装備を揃えてプレイできるため、楽しく充実したゲームライフをおくれているのですが、それ以外が手につかない現状です。

でもそれはきっと幸せなことなのでしょうね。

そう思う。10月の始めの日でした。

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