いろえんぴつ白書 その1
おことわり
この作品は、セガから発売されているオンラインゲーム。ファンタシースターオンライン2を元に、勝手な解釈と設定を持ち込んで書かれた二次創作物です。
そういったものが苦手という方や、不愉快に思うファンの方もいるかと思います。
まして、作者は素人であり文章もあまり読みやすいものではありません。全ては作者自身の自己満足のために書かれたものですので、本来読むことをお勧めはいたしません。
しかしそれでも、読んでやろうじゃないか!!という方、その後発生する感情を自己責任で処理するという事で、読んでいただけると嬉しいです。
愚鈍浅薄脆弱無為、弁えよ。
宇宙に轟く声とともに放たれた波動に、僕は大きく吹き飛ばされた。
「ぐっ・・・」
叩きつけられ、僕は奥歯を噛み締めて衝撃に耐える。
なんとか手放さなかった大剣を支えに立ち上がり、周囲を見回す。
傍に仲間の少女が倒れている。何度も死線をくぐり抜け、共に戦った仲間だったが、少女のバイタルを示す反応はすでに消えていた。
倒れた仲間は彼女だけではない。当初12人いた仲間はもすでに僕を含め3人になっていた。
仲間を失った悲しみは既になく、今あるのは恐怖。そして怒りだった。
大剣を構えて、僕は奴を睨みつける。
小惑星ほどの巨体を持つ敵。
奴の表面で小さな爆発がみえた。続いて閃光がはしり、巨体の表面を削り取った。
生き残っていたレンジャーとフォースからの攻撃だった。
しかしそれはそれは巨大な岩の一部に針でつついたほどのものでしかないのは見ていて明らかだった。
全力で潰すのみ
奴の腕が振り下ろされた。
フォースがテクニックの光弾を放つが、ただ圧倒的な質量の前に茄すべはなかった。
轟音と衝撃が響き、足場にしていたな船の残骸が大きくひしゃげる。
レーダー上にあった彼らの反応が消失した。
最後に残された僕は、唖然それを眺めているしかなかった。
奴が、こちらを見た。僕は自身の最後を悟った。
刮目せよ、我こそダークファルス・エルダーなり
巨大な影が視界を覆い尽くす。こちらを押しつぶすつもりだろう。
限定された空間で、その巨体から逃れる術もない。
「ちっくしょぉおおおっ!!」
一矢報いようと僕は頭上に大剣をかざす。せめてやつの表面だけでもえぐってやろう。それがやつにとって蚊に刺されるほどの痛みにもならないとわかっていたとしても。
そして、その巨体も拘らず急速に迫った大質量に押しつぶされる衝撃を感じることもなく、僕の意識は消滅した。
「ぐふぉっ!?」
衝撃で、一瞬で僕の意識は覚醒した。
「るぅわぁ~。なんてことするんだよ」
目を開けると、思った通りの少女の顔。
「おはよ、お兄ちゃん。起きた?」
僕の抗議などどこ吹く風という感じの淡白な声。
多毛症ぎみのややもっさりした髪をゆったり太めに編んだおさげをたらし、着ているのは3月まで僕も通っていたアークス学園中等部の女子用の制服、夏用。
毎朝僕を起こしに来るふたつ年下の幼馴染、瑠環だった。
「ああ、おはよう。・・・まったく、プロレスごっこは卒業したと思ったんだけど?」
年頃の女の子にあるまじき攻撃で僕に強制覚醒をもたらした幼馴染に、僕は眉をしかめ恨みがましくささやかな嫌味を言ってやる。
おそらく行われた攻撃はフライングボディプレス。それも十分高さの乗った一撃だ。
そうでなければ小柄な瑠環の体格であの衝撃は説明がつかない。
しかし、当人はまるで悪びれた様子もなく、僕の上にのしかかったままだ。
だいたい起こしに来たくせに何故マウントポジションをとっているんだ?矛盾してるじゃないか。
「そうかな?今でも友達とよくやるよ?」
何でもないことのように言ってぐいっと僕を押さえつける力が増した。
さすが武の名門アークス学園の生徒。小柄で体重もたいしたことないくせに、身長で20センチ以上は高いだろう僕でも簡単には振り払えそうにない。
しかも、いつのまにかはっきり確認できるようになった胸のふくらみが、半袖の夏用制服から伸びた、ふっくら丸みを帯びた腕に押し上げられて、胸を強調するような姿勢になっている。
思わず顔をそらした。
流石に本気になって取っ組み合うわけにもいかず、僕は交渉のによって我が身の開放を求めることにした。
「・・・起きるからどいてほしい」
顔をそらしたままそれだけ言うのが精一杯だった。
年上のお兄ちゃんとはいえ、僕も思春期真っ盛りの15歳。仕方がないだろう?
要求は受け入れられた。
体にかかっていた圧力が消えて、僕は内心そっと息を吐く。
とはいえ僕は、すぐにベッドから出ることはできない。僕はこの季節の男子にありがちな格好。Tシャツとトランクス姿で寝ていたからである。
以前気が回らずこの格好を瑠環の前に晒したときは、「きゃーっ」という可愛らしい悲鳴と、「お兄ちゃんのえっち」という可愛らしい台詞と、強烈なビンタを喰らうことになった。
「すぐに行くから、先に食べてなよ」
「はーい」
ベッドから降りた瑠環が部屋を出ようとする。だけどその前に聞いておくべきことがある。
犯行動機は明確にしておかなければならない。
「で、今日の起こし方はなんだったのかな?」
返答よっては倍返しだ。とは心の中で付け足した。もちろん物理攻撃ではなく、精神的なものでだ。
「こころぴょんぴょんだったから」
「はい?」
こいつ今なんて言った?
つまりあれですか?ぴょんぴょん気分でやってきて、ぴょんと飛び上がってボディプレスに及んだと?・・・倍返し確定。
瑠環が部屋をあとにするのを音で聴きながら、今度は大きく息を吐いた。
さて、着替えるか・・・。
体を起こしたとき、ほのかに柑橘系の匂いを感じた。瑠環が残していったシャンプーの匂いだろう。
とたんにドクンと心臓が高鳴ったような気がした。
心の中で警鐘が鳴る。防壁がやばいと。
薄い夏布団ごしに感じた瑠環のやわらかい感触と体温。
真っ白な制服ごしにうっすら透けて見えた下着のライン。
丸い輪郭が制服の上からでもはっきり確認できたバストは。僕の同年代と比べても、良好な成長具合と言えるだろう。
顔だって十分に可愛い部類にはいる。
至近距離で感じた息遣い。僕を見ていたあどけない表情。
感覚とともにさっきまでのやり取りがリアルに思い起こされてくる。
ガツン。
額を自らベッドの隅に強く打ち付けた。
衝撃と痛みで、頭がくらついたがそれでいい。
そして心に固く冷たい防壁を張る。
瑠環への気持ちが今以上に高まることがないように。
もし瑠環のことを本気で好きになったとして、瑠環は僕の想いに答えてくれるだろうか?
答えのでないまま、感情を持て余したままにして今まで通り、僕は瑠環に接することができるだろうか?
もしかしたら瑠環を傷つけるようなことをしてしまうかもしれない。
つまり今の関係が壊れるか怖いのだ。
僕はまだ高校生になったばかりで、瑠環もまだ中2で、愛だ恋だ、彼氏だ彼女だといった話になるのはまだ先でいいんじゃないか?
先延ばし。それが多感なこの時期をもっとも楽しく過ごせるであろうと導き出した僕の結論だった。
ヘタレ、とか言わないで欲しい・・・。
やがて気分を落ち着かせ、着替えを済ませて部屋を出た僕は、いつものように1階へと下りると洗面所で顔を洗い、歯を磨いてからリビングに向かう。
僕がリビングに着く頃には、瑠環はもう朝食を食べ終わろうとしているところだった。
瑠環が座るテーブルの反対側。
普段僕が座る席の前には、僕の分のサラダとベーコンエッグがきれいに盛り付けられている。
サラダは袋入りで売ってるものを開けただけだが、ベーコンエッグは瑠環が作ったものだ。
少しやんちゃなところもある瑠環だけど、一般家庭で普通にに作られているような料理なら上手に美味しく作ることが出来る。
彼女のステータス欄には別に料理プロ並みだとか、家事万能といったものがあるわけではないが、瑠環は大抵なんでもそつなくこなす。
それは形よく綺麗にできあがったベーコンエッグが証明している。きみのところは僕の好みに合わせた、しっとりとした硬さ、になっているのは間違いない。
そして僕が入ってくるのを待っていたかのように、トースターがチンと音を立てた。
僕がリビングに入ってくる時間を予測した、完璧なタイミングだ。
「よしっ」
満足のいく結果に嬉しそうな声をあげる瑠環。
「さすが瑠環。タイミングバッチリだ。それにベーコンエッグもおいしそうだしね。ありがとう瑠環」
僕は賞賛とお礼を言うことを忘れない。
瑠環は僕にとって、もったいないくらい良くできた妹分だから、僕もできる限り良い兄貴分でいたいと思う。これは瑠環への好意が、一定以上にならないようにと防壁を作っているのと矛盾しているんじゃないかと分かってはいるが、何より嫌われたくもない。
「えへへ」
はにかみながら嬉しそうに笑う瑠環に再び防壁が軋み始めたが、。僕はそれ以上気持ちが高ぶらないよう、何でもないような顔をして席に着いた。
テレビをつけて、ニュースを見ながらの朝食。
ベーコンエッグは言うまでもなく、丁寧にほどよく塗られたマーガリンに、丁度いい焼き加減のトーストも焼きたてサクサクで、文句なく美味しい。
先に食べ終えた瑠環は、流しで自分が使った食器を洗っている。
僕は極力それを意識しないようテレビの方へと目を向けた。
天気予報では、今日の天気は曇りのち雨。降水確率50パーセント。今日、明日はあまり天気はよろしくないらしい。
休みの日は晴れてくれた方が、遊ぶにしても何にしても気持ちがいい。
明日土曜日はともかく、明後日、日曜日には天気が回復傾向にあるようだ。
(1勝1敗だな・・・)
と、僕どうでもいいことを考えることで、流しで女の子が食器を洗うという事象から連想されるようなことを、僕は考えないようにしていた。
さて、ここで僕の家族についても話しておこう。
僕の父さんは地元の博物館の学芸員をやっているのだが、学術調査のために頻繁に海外を行き来していて家にいないことが多い。それこそ月単位でいないこともざらだった。
また母さんも同じ博物館で事務の職員をしていたのだが、この春に僕が高校に上がったところで、「高校生ならもう一人でも大丈夫よね?瑠環ちゃんもいるし」などと言って、父さんについていってしまった。
うちの親と瑠環の親とは仲がよく、家も近所で昔から家族ぐるみの付き合いがあった。
そういう事情により、、母さんから僕のことを任された瑠環は、毎朝僕を起こすついでに、瑠環もこの家で朝食を食べるようになったというわけだ。逆に週3日、僕は夕食を瑠環の家で夕食をご馳走になっている。
本当は毎日でもおいでと言われているが、やはり申し訳なくて居心地が悪いのと、一人暮らしの気ままさを味わいたいという、僕の気持ちをくみとってくれての週3日だ。
「お兄ちゃん今日もうちで食べるよね?何が食べたい?」
洗い物をすませた瑠環が聞いてきた。
僕の都合で不定期に予定が変わったりもするのだが、月曜、木曜、金曜日の晩に瑠環の家でお世話になることになっている。
4月から2ヶ月。もう慣れてもいいようなものだけれど、週に1度以上、必ず聞かれるこの
質問が僕は苦手だった。
いくら親しいとはいえ、よそ様の家の献立に口出しするのは悪いと思っているので、できれば「なんでもいい」で済ませたいのが本心だったが、遠慮しすぎる間柄でもないのも事実だ。
「昨日、僕の意見でシチューにしてもらったからね。今日のメニューを決める権利は瑠環に譲ることにするよ」
できるだけ言葉を選んで返したつもりだったけれど、「ふーん」と瑠環は面白くなさげな反応を見せたが、そこは気がつかないフリをする。
そうこうしてる間にいつもの時間になって、玄関のチャイムが鳴ったので、僕はこれ幸いと、玄関へと向かった。
あとがき
このお話は、株式会社SEGAのオンラインゲーム。ファンタシースターオンライン2(以下PSO2)で筆者が所属するチームが個性的な美少女揃いということで、このキャラ達でギャルゲーやったら楽しそうだね?というネタから生まれた物語です。
ちなみに、チームのみなさんの許可なんぞ取らずに勝手に出してます。知ったこっちゃないです。
さて、この冒頭の一幕は、幼馴染キャラが寝ぼすけ主人公を起こしに来るという定番シーンです。
幼馴染で妹分という、主人公にもっとも近いポジションのヒロインを演じますはチームのエース瑠環さん。
・・・下手したらわたし、ビジターに降格されちゃうんじゃないかとビクビクしてます。パワハラダメ!!絶対!!
次の登校シーンでは、チームのアイドルChicoryさんを押していきたいとおもいます。
期待しないでまっていてください~。
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コメント
ぴょんぴょんなら、仕方がないね(´・ω・`)
投稿: エトワール | 2014年7月 8日 (火) 18時44分