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PSO小説 第1章「孤島のガーディアン」

                       おことわり

この作品は、セガから発売されているオンラインゲーム。ファンタシースターユニバースシリーズを元に、勝手な解釈と設定を持ち込んで書かれた二次創作物です。

そういったものが苦手という方や、不愉快に思うファンの方もいるかと思います。

まして、作者は素人であり文章もあまり読みやすいものではありません。全ては作者自身の自己満足のために書かれたものですので、本来読むことをお勧めはいたしません。

しかし、どうしても読んでやる!!という方は、後の感情の処理は全て自己責任でお願いいたします。

                                               

1章「孤島のガーディアン」

多大な犠牲を払いながらも、ガーディアンズをはじめ多くの者たちが力を合わせ、グラールは危機を乗り越えた。

それからしばらくしてのこと・・・。

食うものと食われるものの関係というのは、自然界の中では当然のように行われていることで、そこが周囲25,000kmにも及ぶ、マタラ島であればきっとどこでも見れるような光景であろう。

しかし、大小動植物合わせて5,000種以上はいるとされる生物の宝庫であっても、その存在は極めて珍しいだろう。捕らえた魚をほおばっているのは人間の少女だった。

「もぐもぐ・・・」

サワナと呼ばれる川魚を幸せそうに咀嚼する。つややかな黒髪のポニーテールを揺らしながら刺した串の両端を持ち、少女の前腕ほどのサワナの背中にかぶりつく。引き締まった白身が適度な脂肪分とからみあって、ほおばると身が溶けるようにほぐれていく絶妙な食感。焼き加減、塩加減とも我ながら上出来だ。

朝、川で水浴びのついでに捕まえたのだが、なかなかの上物だったので、朝食にと焼いてみたのだが大当たりだった。

少女の名前はミュラ・ルルホ。マタラ島を管理する、常駐警護部マタラ支局所属のガーディアンズである。

自然豊かなニューデイズでも、特殊な環境を有するマタラ島。ここは、先文明以前の自然環境と生態系の残る、グラールでも非常に稀有な場所である。

500年にわたる種族間戦争は、グラール太陽系の環境を大きく変化させた。主星であるパルムは荒廃し、資源豊富なモトゥブも、資源の乱獲でもともと良いものでなかった環境を、さらに悪化させていったとされる。ここニューデイズは確かに戦争のダメージは他より小さかったものの、星に充満するフォトンの乱れが生態系に影響を与え、そこに住まう動植物に大きな変化を与えたと言う。

マタラ島はそんなグラールの中でも奇跡的といえるぐらいに、完全な形で太古の自然環境を残していた。

そんな貴重な土地であるため、あらゆる勢力の統治を受けることのない特例保護区として指定されており、そこへ人が足を踏み入れることも厳しく条件がつけられ、文明を持ち込こまれることに対しても厳しい制限が課せられていた。

しかし、決して無人島と言うわけではない。調査や研究を行うこともまた、禁止されてはいないからだ。そのため研究者のガイドや、原生生物からの護衛。貴重な動植物を密猟されたり、持ち出されるのをふせぐため、民間の警備会社であるガーディアンズの支局が置かれている。それが、常駐警護部マタラ支局なのである。

川沿いの野営地には、彼女の他には誰もいない。野営地は普段は無人であるし、ミュラは一人で巡回任務中だった。

行程の約半分ほどをこなし、昨夜この野営地を訪れ夜を明かしたというわけである。

野営地には、レーザーフェンスで大型の原生生物が入れないようにされているので安心して眠れるし、普段から持ち歩いている、野宿用の装備よりもましな寝具もおかれてるため、ミュラに限らず

この地のガーディアンズは基本、野営地から野営地へと移動しながら目的地へと向かう。

ここで言う、巡回任務とは、特定の動植物の数や分布などを記録し、保護区内の生態系を調査したり、密漁や不法侵入への警戒を目的としたフィールドワークのことであり、たいてい2~3日かけて規定の順路を巡回する。

本来、任務中は二人以上で行動することが原則のガーディアンズではあるが、マタラ支局では人手が少ないため、危険の少ないルートでの巡回任務なら、ある程度のAIをつんだマシナリーを連れてさえいれば一人で行うことも許可されている。人手不足のマタラ支局では、マシナリーも立派な頭数なのである。

食事を取るミュラの周囲には忠実な番犬のように、鋭角的な頭部と大きな尻尾を持つ小動物を模した、ヨウメイ社製のマシナリーが漂うように浮かんでいた。

ごちそうさま、と軽く手を合わせミュラは周囲を回るマシナリーを呼ぶ。

「タマモ、報告」

小動物型のマシナリーはふよふよと、主の下へとよっていく。

「御意・・・。日報デゴザルナ」

幼い少女の声でタマモと呼ばれたマシナリーが答えた。対話可能な人工知能が搭載されているのだ。・・・言葉遣いは奇妙だが、これはミュラの指導教官の趣味だ。

タマモとは研修の終わりに教官から譲りうけて以来2ヶ月程の付き合いになる。

「・・・5月4日、6時30分。南州部ミギヒオウ区オタマ川第一野営地より報告します。」

野営地は普段無人である。そのため設備の管理は立ち寄ったガーディアンズが行うことになっているのだ。ミュラはPDAをみながら、野営地を一周し、設備が機能、備品の消耗具合などを項目ごとにみてまわる。

フォトンリアクター異常なし。レーザーフェンス異常なし・・・。シェルター外観に報告に無い落書きを発見、機能に異常なし・・・。

タマモはミュラの言葉を文書化して記録し支局へと送信する。

「小天使ちゃん参上?小天使トハ何者デゴザルカ?」

「さあ?なんだろうね・・・?あ、ドライフルーツの袋がなくなっているよ?」

「ウム、補充品ノ項目ニ追加シテオクデゴザル」

基本的にこの島内を民間人がガーディアンズの護衛無しでうろつくことはありえないが、何かの間違いで迷い込むことはある。マタラ島は20,000,000k㎡もの面積があり、そのほぼ全てが未開の地なのだ。

対してマタラ支局のメンバーはミュラのような実働要員で10人。局員全員合わせても20人にも満たない。実際島の監視は軌道上の人工衛星によるもので、完璧なものではないのが実状である。

「遭難者かな?」

野営地は島内に1000ヶ所以上が存在しているが、そこだけがこの地における人間の領土である。もし遭難者が運良くここにたどり着けたなら、ここを動かず救助を待つだろう。しかし、このあたりにはミュラ以外に人の気配はなかった。無線機をはじめ、SOSを送るための機材は幾つかあったが、使われた形跡も無い。

「フム。記録ガアッタデゴザル。シバラク前ニ本部ノ医療部ガ研修ニ来タヨウデゴザルナ」

「ふーん・・・」

設備の点検が終わり、ミュラはさっき魚を獲った川沿いへと向かう。周囲の環境の記録も大事な仕事である。

「気持いい・・・」

澄んだ水面には朝の日差しが反射してまぶしい。ん・・・、と背伸びをしたところで、春の風がミュラの周囲を吹き抜けていった。

「水温ハ10℃、マダ水ハ冷タイデゴザル。風邪ヒカナイノデゴザルカ?ゴ主人・・・」

「ん・・・。大丈夫だよ」

「ゴ主人ハ、見カケニヨラズ頑丈デゴザルナ・・・」

ミュラの見た目は普通の少女のようにみえる。15という年齢にしては小柄な体つきと、幼い顔立ちで、知らない人に歳を聞けばおそらく幾つか下の年齢を答えるだろう。少なくとも一騎当千のつわものが揃うガーディアンズの一員であるようには見えない。せいぜい学生か、平和なところで売り子でもしてるのが似合いそうな娘なのである。

「河川周辺ニ、サシタル変化ハ見ラレナイデゴザル。撤収シテ次ヘ向カウデゴザルヨ」

「異常無しだね」

「異常無シデゴザル」

ここでの仕事はこれで終わりだ。

「じゃあ、これも追加しておこう?備考欄で」

「御意」

備考・・・。付近河川に生息するサワナを徒手にて捕獲。体長約25cm。重量約200gおそらくは雄と思われる。緊急時の食用としての適正を確認するべく試食を試みる。エラ、内蔵を抜き出し、砕いた岩塩をまぶし火で炙って試食。身はやわらかく、油のり良好。食用としての適正は二重丸・・・。(私見)

「何もなければ異常なしだけで結構です。サワナの塩焼きのデータが今後使われる可能性は限りなく0%ですので」

唐突にタマモから第三者の声が割って入った。よく知った上司の声だ。

「ルウ?おはようございます」

タマモを介して通信してきたのは支局にいるルウだ。ガーディアンズのホストコンピューターの端末であるルウは、マタラ支局にも当然配備されている。支局では局長補佐の立場だが、ミュラ達局員の間では支局で一番偉い人という認識で一致していた。

「おはようございます。ミュラ。さっそくですが貴方に頼みたい依頼が入りました。現在のミッションを中断し、至急支局に戻ってください。詳しくは、依頼人と会ってから説明します」

今いる野営地は支局から普通1日かけて移動する距離にある。支局で話すとなるとずいぶん待たせることになる。

「今日着く連絡船で到着の予定です。13時までに支局まで戻ってきてください」

・・・あと4時間ほどだ、最短距離を全力で行って間に合うかどうか・・・。

お待ちしてます、といって通信が切れると同時にミュラは野営地へと駆け出した。手早くキャンプの後を片付ける。

止めてあったフローダーに荷物を手早く縛り付けて飛び乗ると、始動キーを回す。甲高い音と共にフォトンリアクターが機動し、フローダーはわずかに地面から上昇した。

「行くよ、タマモ」

「御意」

小動物型マシナリーが最後に荷物の上にしがみついたのを見て、ミュラはフローダーを走らせた。

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コメント

どうも、お久しぶりです。
いやぁ、文章の量から質まで私では及ばないほどすごいですなぁ………
なんとなく先輩ぶって?みますと、思い切って書き直したのは良い判断かと。
自分みたいに変に書きすぎてからでは、打ち切りにもしにくいですし、した後にかなり書く気が失せてしまいますからね………
偉そうな事言ってすいません;
ミュラさんのを見ていたらやる気が出てきました!

投稿: ヘビーガン | 2011年5月13日 (金) 08時48分

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