おことわり
この作品は、セガから発売されているオンラインゲーム。ファンタシースターユニバースシリーズを元に、勝手な解釈と設定を持ち込んで書かれた二次創作物です。
そういったものが苦手という方や、不愉快に思うファンの方もいるかと思います。
まして、作者は素人であり文章もあまり読みやすいものではありません。全ては作者自身の自己満足のために書かれたものですので、本来読むことをお勧めはいたしません。
しかし、どうしても読んでやる!!という方は、後の感情の処理は全て自己責任でお願いいたします。
0章
・・・同盟締結100周年を迎えらるこの記念すべきこの日を、こうして迎えられたことは大変な喜びです。全ては先人の方々の多大な尽力、と皆様方の平和な世界をへの想いがあってこそであり、我々はこの平和を向こう100年、200年と・・・。
今ガーディアンズコロニーで催されている、太陽系同盟100周年記念式典の放送である。
画面の中で演説するのは現ガーディアンズ総裁。オーベル・ダルガン。
今この世界のどれだけの人がこの放送を見ていることだろう。
ニューデイズの奥地で息を潜めて過ごす彼女も例外ではいなかった。
500年にわたる戦争を経ての4つの種族の共存。まさに奇跡ともいえる同盟締結から100年。
彼女も感慨深く式典の様子を眺めていた。
その感情は、例えば学校の卒業式で代表として訓示を読む我が子を見る母親だろうか?
彼女は人ではなかったが、彼女の創造主は女性の持つ母性という感情を彼女に求め、彼女に女性としての心を与えた。彼女の任務には、その感情が不可欠であったのだ。
最初にこの世界に人という種族を持ち込んだのは彼女だ。
それ以来ずっと、彼女はこの世界を見つめてきた。
この世界は彼女の子供も同じだ。
月日がたち、彼女が解き放った人は徐々に数をふやし、やがて文明を作り出して言った。
やがて、彼らはその身をその世界に適した形へと変えていく。 この世界には彼女が元いた世界にはない理があったのだ。
それがフォトンの存在である。
フォトンの力で、文明は急速に発達していった。それこそ驚くほどの速さで・・・。
繁栄を極めた文明は、彼女と同等といえるまでにその水準を発達させていったが、その後文明は敵の侵略をうけることになる。
強大な力を持つ敵との戦いの末、敵を封じ込めることには成功したものの、その影響は大きく彼の文明は滅亡していったのだ。
・・・そのときの彼女の悲しみは、子供を亡くした親の感情と変わらなかっただろう・・・。
そしてしばらくの後、彼女が見つけた希望。それは荒廃した星の中でその水準を太古の生活に戻りながらも生きる人の姿だった。
高度な文明は失われたが、人はまだ滅亡してはいなかったのだ。
そして、再び時は流れて・・・。
その存在に気がついたのはその時だ。
おそらく今この世界で最も優れた彼女の監視網がそれの接近を知らせた。
まっすぐこの世界へ近づいてくるものがいる。
所属不明の質量体を感知。現宇宙への顕現まで300秒。
こういうことは長い年月の中で、度々あったことであり、その対処が、彼女の仕事だ。
時には話し合いで、時には武力を行使して。誰にも知られることもなく、彼女は仕事をこなしてきた。
しかし、それもあと少しのことだ。もう間も無く、この社会は彼女と同等の力を手に入れることだろう。
そのとき、ようやく彼女も長い任務から解放される。対等な立場として新たな段階へと進むことが出来るのだ。
国籍不明、形式不明、体積は惑星級、質量は感知できず、構造不明。・・・彼女にも何なのかわからない存在。
彼女は接近中のアンノウンをかつて戦った敵と同種のものであると断定する。
あと少しなのだ。邪魔はさせない。
彼女は自分の力を最大限に引き出す騎士達を呼び起こす。
・・・ダビング・ブレイン再生開始、擬似生体構築・・・。
・・・艦長ギデオン・スタイアー提督、再生委開始。
・・・副艦長兼参謀アリスリット・ルノー中佐、再生開始。
・・・操舵士ソウタロウ・ミヤコ大尉、再生開始・・・。
暗闇に光がともる。そこは彼女を制御するための艦橋だった。無人の席に次々と人影が現れていく。そして、まるで今までそうしていたかのように、自分の役割をこなしていく。
彼女の中にデータとして残されている人間の脳と、力場で作ったかりそめの体でできた、人のコピーであるが、彼らの人格、精神は人間と全く変わることは無い。
ブリッジクルー12名ローディング完了。
艦橋の中心、艦長席に座る壮年の男が静かに息を吐く・・・。その目が見開かれ鋭い眼光で艦橋を見回すと叫んだ。
「おはよう諸君!!我々の子供たちが再び危機に直面している!!巣立ちの時はもう間も無くだ、今、我々は何としても彼らを護らなければならない。諸君らの力を貸してほしい!!」
ギデオン艦長の言葉に一時的に手を止めた者も、すぐにまた自分の仕事へと戻っていく。
フレア・テルス浮上準備。艦内をフルチェック・・・。オールグリーン。
桜花機関機動開始・・・、慣性制御推進始動。
居住区時間停滞解除・・・、空間遮断。
全武装異常なし。
護衛艦隊発艦準備。システム立ち上げ開始。
「艦長、創世戦艦フレア・テルス発進可能です」
隣にたった長い髪とやや冷たい印象の女性。副艦長のアリスリットだ。
「発進せよ」
ニューデイズの一角、美しい山脈に囲まれた湖に異変が生じた。美しい山脈を写していた湖面が突如波打ち巨大な水柱が立ち上がる。水柱は3,000メートル級の山々が連なる山脈の中ごろまで伸び、やがて水柱が消えると彼女はその巨大な姿を現した。
湖の中心に浮かぶ白い巨大な船。
そして、湖面に大きな波紋だけを残し、その船体は幻のように姿を消していった。
テルス計画。地球連邦による亜空間開拓事業の呼称である。
地球人類が外宇宙に進出して数世紀。
夢と希望に胸を膨らませて始まった人類の銀河全域の進出は、いつの間にか人類の滅亡へと向かわせていくことになる。
人々は新天地という夢に目がくらみ惑星の殖民は採算がとれずとも強行された。それらは種族の拡散をすすめ、地球連邦の国力は弱体化。
異星人との交流も、倫理観や社会システムの違いから、意義のあるものにはならず、また幾つかの勢力との対立を生んだ。
そんな時考案されたのが並列世界への進出である。
宇宙が生まれてから、ある時点で分岐した世界なら、同種族の文明が存在する可能性がある。もし、そんな世界と交流がもてれば、拡散を続ける人類の救いとなるかもしれない。
しかし、実際のところ文明どころかも生命体も見つけることができず、結局平行世界探索は打ち切られた。
・・・無いのなら、作ってしまえと考えた者たちがいた。彼らによって作られたのが創世艦である。
テルス計画はによって求められた並行世界における、人類文明の創世はただ移民によって行われるのではなく、理の違うその宇宙に適応できる人種を生み出すことから始められた。
宗教的、倫理的に問題の多いこの計画は当時地球連邦でも異端とされたが、一部の者たちにより非合法に強行されることになる。
1万年以上世界を守護するため、創世艦には過剰なほどの攻撃力と、ダビング・ブレインのような非道徳的な技術が取りいれられているのも、そのためである。
彼らはそれが、数千年後の人類ためになると信じていた・・・。
青く輝く第1惑星パルムが、遠くにに小さく見える宇宙空間に、その白い船は出現した。
「転移完了!!アンノウン、あと10秒で顕現します!!」
オペレーターの声にギデオンは前方の空間をにらむ。
見えるのは遠く輝く星星。かつての戦いで彼もまた苦汁を飲んだ。この艦橋にいる全員がそうだ。
「主砲用意、僚艦の発進も急がせろ」
「主砲、光波衝撃砲全砲門用意良し」
砲撃担当の士官が言う。
「砲艦群も配置完了」
「護衛艦隊も順次発進」
フレア・テルスには各種艦艇も収容されている。長い時間の中でそれらも少なからず損耗してはいたが、それでもいまだ軽空母をはじめ、イージス艦、護衛艦など10隻以上の戦闘艦が使用可能な状態にある。
艦体後部が開き次々と護衛艦が発進していく。これらは全て人工知能で制御された無人艦である。
「アンノウン顕現します!!」
・・・星が見えなくなった。空間がゆがみ後ろからの光がゆがめられたためだ。そして巨大な球体が宇宙を裂いて現れた。
惑星並みの大きさを持ちながら、重力の影響をまるで起こさない、科学では解明できない存在。
ところどころ発光する赤黒い表面は,無機質でざらついた岩石ではなく、なにか肉のように見えるが、それが何なのかは今解明する手段は無い。
前回の敵とは、見た目がまるで違うが、それを目の前にした時の感覚はまるで同じものだ。
データであるはずの彼らにさえ影響を与えるの力。
気力、体力を吸い込まれるようの感覚。この恐怖感は忘れられはしない。
「撃てーっ!!」
ギデオンの号令のもと、主砲である4連装51センチ光波衝撃砲が放たれた。船体に比べると小さく見える6基の砲塔、計24門の砲身が一斉に瞬くと同時に、目標の一部が弾けとんだ。
船体に比べて小さく見えるが、光速の超質量エネルギーを打ち出すその威力は、星をも打ち抜くほどである。
各護衛艦、砲艦も攻撃を開始する。
無数の閃光に貫かれ、アンノウンはずたずたに引き裂かれ、千切れ、砕かれていく。
それは、通常の惑星を破壊するのには充分な火力であったはずだった。
「アンノウン、依然健在です!!」
しかし、星の形を変えるほどの砲撃をもってしてもそのアンノウンは侵攻を止めはしない。
「再生速度が速すぎます!目標の進行速度依然変わりません!」
まるで、煙や水に銃弾を打ち込んでいるようなものだ。銃弾がいくらそれらを貫いたとしても、それらを消し去ることができないように・・・。
「・・・むぅ」
戦況を睨みながらギデオンは考える。
やはり、我々の常識でヤツを滅ぼすことはできん。・・・所詮、我々はこの世界の主役たりえんか・・・。
この世界に存在する精神生命体の力。それは前回の侵攻のとき思い知らされた。
彼らの進んだ科学を持ってしても解明できない存在。その時も、今回のように実体を持って現れはしたが、それが奴らにとって本体ではなく、道具でしかなかったのだ。
人を襲い、恐怖を与えるため道具。それが奴らにとっての実体の意味。
その相手にに対してデータだけの存在でしかない自分たちが戦いを挑んでも、決して勝つことは出来ないということを、彼らはよくわかっていた。
どれだけ強力な武器や兵器を用いたとしても、どれだけ打ち抜いたとしても、討ち果たすことは出来はしない。彼らではどうやっても、相手の核たる精神に打撃を与えることが出来ないのだ。
このままでは間も無くパルムを、その後はこのグラール全土は飲み込まれてしまうだろう。
「だが、我々はあきらめない。そうだな?」
「はい、艦長」
アリスリットの顔にあせりは無い、静かに戦況を見つめている。
「空間遮断戦陣の許可をお願いします」
空間遮断戦陣。前回の敗戦後、彼女によって考案された戦術で、その名の通り、相手を通常空間から隔離、亜空間に放り出す。
完全に遮断された空間は、時間の流れも止まってしまうため確実に相手を封じ込めることが出来るが、封じ込めるためには空間を遮断するシールドを張れる艦艇で相手を囲う必要が有るため、こちらも数隻を失うことになってしまう。
しかし、実体の無い彼らにとっては、手持ちの手札の中で手段を講じなければならなかった。彼らは自らを改造することも、都合のいい新兵器を開発することも出来なかった。
「許可する」
すでに損失を惜しむ意味は無い。
「了解、高速護衛艦バリオス、スタリオン、天馬、重砲艦咲穂は所定の位置へ」
彼女の指揮で4隻は光波推進の残光を残し、アンノウンの周囲へと散っていく。
「艦長、目標が大きいため4隻では出力が足りません。確実に目標を捕らえるには、あと2隻は必要です」
「よし、イージス艦ネレイスも加えろ」
護衛艦より大型で、強力な火力の他、電子戦装備も充実しているイージス艦は、重要な戦力ではあるが、その出力と高性能な観測機器を加えれば、作戦の成功率は増す。
「ありがとうございます。ネレイスをお借りいたします」
この作戦で使用する艦艇は、決して犠牲にするわけではない。いずれ、対抗できる力を手に入れたら必ず救出するのが前提だ。無人艦といえど、長い間一緒にやってきた仲間なのだから。
「ネレイスのから報告アンノウン表面に亀裂のようなものが広がっていきます」
「いかん!!」
ギデオンが叫んだ。
「作戦開始!!やつは爆散する気だ、それより先に封じ込めろ!!」
「アンノウン、崩壊開始します!!」
惑星の崩壊というにはあまりにあっけない、まるで雪玉が砕けるようなあっけない崩壊。
爆炎を上げることも無く、ただ内側から大きく砕け、大きな破片はさらに細かく砕けていく。
わずかに遅れてアンノウンを包囲していた5隻から空間遮断壁が展開され、崩壊していくアンノウンを包み込む。
星の光も、護衛艦が発する無数の火線も照らすことの出来ない虚無の空間が生まれていた。
遮断された空間だ。
やがて虚無は消えていく・・・。亜空間の彼方へと。
「空間遮断戦陣機動。アンノウンの8割を捕らえました」
残された2割、わずか2割といえど、惑星の2割分である。それらは分裂を続け、太陽系全体へと拡散していく。
「各艦、迎撃せよ!!空母パナケイア緊急発進。艦載機も出せるだけ出せ!!」
フレア・テルス後部に繋がれていた軽空母パナケイアから、多数の戦闘機や、人型機動兵器が吐き出され、迎撃に加わる。分裂したアンノウンはそれらの火力で蒸発させられるのだが、数が多すぎた。
パルム周辺で火の手が上がった・・・。アンノウンに接触したコロニーだろうか?
確かコロニーでは、100年の平和を祝う式典が催されていたはずだ。
それをこんな形で壊されることになろうとは!!
「くそっ」
ギデオンは拳を撃ちつける。
「この世界はまた、試練の時を向かえる・・・」
最近のコメント